現在、相続資産が少ない場合でも、トラブルは増えています。
平成18年のデータですが、全国の家庭裁判所の遺産分割事件の7割が、遺産額が5000万円以下でした。また、遺産分割の事件数も年々増加しています。
遺産相続では、法定相続よりも、遺言による相続が優先されます。
残された者に自分の意思をはっきりと示すことで、相続のトラブルを防ぐために、遺言書を作成される方が増えています。
自分の財産の問題だけでなく、お墓の管理といった点についても、自分自身の意思を示すことができます。なお、遺言は原則として15歳以上であれば、作成できます。
遺言書の作成の流れは、おおまかに説明しますと以下の通りです。
遺言は必ず文書にしなければなりません。また、遺言書には法律で決められた方式があり、遺言書の書き方には一定の要件が決められていて、従わないと法的に無効になってしまいます。
ご不明な点などありましたら、まずはご相談下さい。
遺言は必ず文書にしなければなりません。文書の仕方には民法による決められた方式があり、それに従って作成しないと、法的に無効になってしまいます。遺言の方式には大別して普通方式と特別方式がありますが、一般には普通方式で作成されます。
普通方式の遺言には次の3種類があります。
特別方式には次の2種類があります。
特別方式の遺言は、病気や事故などで市が間近に迫っているような場合や、感染症病棟内や航海中の船舶内などの隔絶されたところにいる場合など、特別な事情に置かれた際に行われる方式です。
遺言を作成したあとで状況が変わり、普通方式の遺言が作成できる状態になり、6か月以上経過して生存している場合、作成した遺言は無効になります。
普通方式の遺言の中でも、お勧めしているのが「公正証書遺言」です。
公正証書遺言の特徴は、以下の通りです。
「公正証書遺言」は、公証役場で証人2人以上の立会いのもとに、遺言者が遺言事項を口述して作成する遺言書です。法的に正しい書式で遺言書を作成することができます。
公正証書遺言の作成手順は次のようになっています。まず、遺言者が口述する遺言事項を公証人が筆記し、遺言証書を作成します。次に、筆記した者を公証人が遺言者と証人全員に読んで聞かせます。遺言者と証人は、筆記が正確であることを確認のうえ、署名・押印します。最後に公証人は証書を作成した手順を付記して署名・押印します。
遺言者が病気などで署名できないときは、公証人がその理由を付記すればよいことになっています。
公正証書遺言は、遺言内容を秘密にすることはできませんが、遺言書は公証役場に保管されるので、死後、発見されないで紛失してしまったり、破棄されたり、内容が改竄(かいざん)されたりするおそれはありません。一度作成した公正証書遺言を取り消したり、変更したりすることもできます。
死後、家庭裁判所での検認(けんにん)の手続きがいらないことも、公正証書遺言の調書の一つでしょう。公正証書遺言であれば、遺言者の死後、遺族はすぐに開封して内容を確認することができます。
また、遺言者が病気で、本人が公証役場に出向けない場合は、公証人に自宅や病院に出張してもらうこともできます。ただし、公証人に出張してもらっても、遺言者は遺言内容を口述するのが決まりなので、口述できない状態では公正証書遺言を作成することはできません。出張の場合は作成手数料が通常の1・5倍になるほか、日当、交通費(実費)が必要です。
なお、聴覚・言語機能障害者の場合は、手話または筆談による公正証書遺言の作成が可能です。